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【書評・感想】世界から文字が消えていく...「残像に口紅を」を読んでみた。

こんにちは!りょっぴです。

 

今回は筒井康隆の「残像に口紅を」のレビューを書きます。

 

残像に口紅を (中公文庫)

残像に口紅を (中公文庫)

 

 

この本はアメトークの「読書大好き芸人」でガズレーザーが紹介していました。

書店でも特設コーナーが設けられて、宣伝されていました。

 

アメトークで紹介されていた他の本のレビューです!

参考までにこちらの記事も読んでみてください。

 関連記事:【書評】アメトーク「読書芸人」で大絶賛!「妻に捧げた1778話」を読んでみた。 - りょぴろぐ

 

この小説の何に惹かれて購入したのかというと、

イデアが奇想天外で設定が面白そうだったからです。

 

その設定とは、、、

文字が世界から消えていくのです!


「あ」がきえると、「愛」も「あなた」もなくなる。

文字が消えていくなかで、この本の筆者でもある主人公はどうやって生きていくのか。

 

マンガでアニメ化もされた「幽遊白書」の中で行われているゲームは

この小説を参考に生み出されたと言われています。

 

設定が難しい。

まず主人公の佐治勝夫は小説家で、自分がこの本の登場人物であると理解しています。

 

つまりメタフィクションなのです。

メタフィクションとは作り話であるということを意図的に読者に伝えることです。

 

例えばアニメ銀魂で銀さん率いる登場人物が、

自分たちのことをアニメに登場していると理解しているのと同じです。


なぜメタフィクションという形式をとるのかというと

「現実が虚構性を追求することで、逆に現実への回帰を果たす」かららしいです。

 

分かりそうで分からない...(笑)

難しいですね。

 

そして、文字が消えていくという設定は小説の中でルールが定められていって、

それに従って実際に文字が消えていきます。

 

言語が消滅していく世界ってどんなんやろ?と思って読んでみた結果…

 

感想

正直、面白くはなかったかな。
実験的小説ということで発想はすごく面白いんだけれど、なんだか退屈してしまった。

 

裏表紙の解説文に「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。

と書いてあって感動する恋愛の小説なのかと勝手に期待してしまったからだ。

 

いや、そうでなくとも退屈していただろう。

文字が消えていき、主人公である佐治の日常が淡々と描かれていく。

 

もし、この本をおすすめするとしてポイントを挙げるとするならば、

文字が消えていき、その概念が消えていくというルールに従って

小説が出来上がっていることである。

 

実験的な小説であるからこそ、日常がたんたんと描かれている。

最後までルールに則って、物語が完結している。

その点でこの「残像に口紅を」は多くの読者に読まれるのではないか。

 

 

また小説では、文字が消える度に消えた文字が動物の絵になぞらえられて描かれている。

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カタカナの「ア」が頭の部分で「パ」が前足の部分。

ちょっと見にくいけれどなんとなくわかる!

 

途中で気づいて、上手くできているなぁと思わず感心してしまいました。

 

また、当時の単行本だと、後半が袋とじになっていたらしい。

「ここまでお読みになって読む気を失われたかたは、この封を切らずに、

中央公論社までお手持ちください。この書籍の代金をお返しいたします」

と書かれていて、筒井康隆さんの自身の覚悟が現れています。

 

筒井康隆さんは本当にいろんな実験的なことをやっている作家さんなんだなぁ

と感じました。

 

筒井康隆さんの他の著書のレビューを書いています。

こちらの記事も合わせて、ぜひ読んでみてください!

ryoppi.hatenablog.jp 

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